
何を作ったか
Simple KPTというKPTツールを作りました。
KPTというのは振り返りを行う際に用いられるフレームワークで、Keep, Problem, Tryをそれぞれ挙げることで振り返りを整理する手法です。

GitHubリポジトリは以下です。
デモ
ログイン不要で触ってもらえるデモボードがあるので、ぜひ触ってみてもらえると嬉しいです。
作った動機
振り返りに使うツールについて、あまりしっくりこないなーという感触がありました。
Miroのようなホワイトボード形式だと自由度が高すぎてカードの配置やテキストサイズの調整に手間取り、変なところでつまづいて振り返りに集中できないことがありました。GitHub ProjectやTrello, Notionなどのようなカンバンだと汎用的であるがゆえに多機能すぎて振り返りをするのにはノイズになったり、逆に痒いところに手が届かなかったり…といまいちKPTにフィットしません。
こういった課題を解消して、必要以上の自由さや機能を排除したシンプルなKPTツールが欲しいと考え、Simple KPTを作りました。
機能
「シンプル」が言い訳にならないように、振り返りに必要な機能はしっかり盛り込むことを意識しています。
- 🔗 振り返りボードの共有
- 振り返りボードのURLを共有することで振り返りに参加者を招待できます
- ⚡️リアルタイム同期
- アイテムの追加や変更が参加者全員にリアルタイム同期されます
- ⏱️ タイマー
- 振り返りのアイテムを書き出す時間をタイマーで設定できます。タイマーもリアルタイムに同期されます
- 🙈 他の参加者のカードを隠すモード
- タイマー起動時に他の参加者のカードを非表示にできます。他の人の意見に引っ張られずに自分の考えを出しやすくする狙いです
- 👍🏻 Vote機能
- 参加者の関心事や課題意識を可視化し、議論すべきアイテムの優先順位づけに活用できます
- 📥 エクスポート
- 振り返りボードをMarkdownやCSV形式でエクスポートできます
- 🤖 AIサマリー
- 振り返りの内容をAIによって要約でき、次回の振り返りに向けてのアドバイスももらえます
- ✅ Tryの進捗管理
- ボード横断でTryのステータスを管理でき、Tryを継続的に追える仕組みを備えています
- 📈 アイテム数推移のグラフ表示
- Keep, Problem, Tryのアイテム数の推移をグラフで追うことができ、振り返りを継続するモチベーションを高めてくれます
- 🌓 ダークモード
- 好みに合わせてテーマを変えられます
- 🌐 多言語対応
- 日本語と英語に対応しています
こだわりポイント
振り返りの継続を支える仕組み
振り返りを継続させるための仕組みをいくつか実装しています。
振り返りで出たTryが忘れられてしまうのはありがちな問題かと思います。Simple KPTではTryリストという機能で、ボードを横断してTryのステータスを一覧で確認できます。以前の振り返りで出たTryが放置されることを防ぎ、実際に改善へ繋げていくための仕組みです。個々のボード内で管理する方法だとボードが増えるにつれて過去のTryが埋もれてしまうため、ボード横断で一覧できる形としています。

また、Keep・Problem・Tryのアイテム数推移のグラフ表示を実装しています。振り返りを重ねるごとにグラフが蓄積されていくことで、これまでの実績を視覚的に確認でき、継続のモチベーションにつなげることを狙いとしています。

意見を出しやすくする仕組み
振り返りの際、他の人が書き出している内容がつい気になってしまい、自分の意見に対して自信が揺らいだり、書き出しにくくなってしまうことはないですか?(自分はあります)
そういったことを防ぎ、率直に意見を出し合える仕組みとして「他の参加者のカードを隠すモード」を実装しました。タイマーを設定する際のオプションとして提供しています。
このモードにより、タイマー終了後に全員のカードが一斉に表示されるようになるため、それぞれの率直な意見をもとに振り返りを進められます。

アクセシビリティ
さまざまな人が、さまざまな環境で使えることが重要と考えるため、アクセシビリティには注意を向けて開発を行いました。
カラーコントラストはWCAG AAの基準をクリアし、キーボードによる操作もほぼすべてに対応できています。また、タッチデバイスの操作にも対応しています。スクリーンリーダーを使う環境においても、適切なaria属性を付与し、操作者に必要な案内やフィードバックを行えるように対応しています。
全ページでLighthouseのAccessibilityのスコアは100点、WAVE(アクセシビリティ検証ツール)によるチェックでもエラー・アラートともに0件となっており、一定の水準は達成できているんじゃないかと考えています。


ただ、キーボード操作でカードをドラッグアンドドロップできない点や、スマートフォンでの使用が実質的に困難な点は課題があります…これは今後の改修ポイントとしたいですね。
URL共有による招待は安全?
機能紹介で触れたとおり、Simple KPTではURLの共有でボードに参加者を招待する方式を採っています。ボード参加にパスワード等の入力を必要としていません。この方式って安全なんでしょうか?ちょっと考えてみます。
ボードを識別するIDにはUUIDv4を使っており、存在するボードのUUIDを探し当てることは現実的に不可能で安全と考えます。
UUIDv4は122ビットのランダムな値を持ちます。仮に100万ボード存在するとして、毎秒1億回の総当りをしても1つのボードを見つけ出すのに平均約1700兆年もかかる計算となり現実的ではありません。
それよりも、誤ってパブリックな場所にURLを公開してしまうリスクが懸念されます。URLの取り扱いには注意が必要ですが、URL共有により招待を行う方式は多くのアプリケーションで採用されており、広く受け入れられている共有方式です。
Simple KPTでは、UUIDの特定が実質不可能なことを踏まえ、振り返り参加メンバーの招待をURLひとつで完了できる手軽さを重視してこの方式を採用することにしました。
おわりに
Simple KPTはKPTに特化したツールですが、振り返りの手法はKPT以外にもいろいろあります。 将来的には他の手法にも対応したいなーという思いもあるのですが、そうなるとSimple KPTという名前をどうするか問題が出てきますね 😂
でもまずは、このKPTツールを一度触ってみてもらえると嬉しいです。
そしてできればフィードバックをください(Issueでもお問い合わせフォームでも歓迎です)
よろしくお願いします!

















